工事の前に近隣へ何を伝えるか|金沢で着工前にしておくこと

太陽興産のスタッフです。金沢を拠点に、建築、土木、とび・土工、大工、解体の工事に関わっています。
工事の話がまとまってくると、次に出てくるのが近隣への伝え方です。「隣に何と言えばいいのか」「業者がやってくれるのか、自分も行くべきなのか」。ご相談のなかで、この話題になります。
近隣の方が知りたいのは、いつからいつまでか、どのくらいの音がするか、困ったときに誰へ言えばいいか。まずはここからです。そこに、音と振動の法律の線と、解体のときの届出が重なります。
このあと、音の基準と2種類の届出を順に見ていきます。着工日から逆算した一覧は、後半の表にまとめました。
音と振動には、決められた線がある
工事の音は、感覚だけで扱われるものではありません。くい打ち機やさく岩機を使う作業など、法令で決められた作業に当たり、かつ市が指定した地域の中で行う場合は、騒音規制法の基準が効きます。
発注する側が押さえておくのは、音の大きさに上限があることと、動ける時間帯と休日が決まっていることの2つです。近隣の方から「朝は何時から始まるのか」「日曜も音がするのか」と聞かれたとき、答えの根拠になります。
- 作業する場所の敷地の境界線で、85デシベルを超えないこと
- 住居が多い区域や、学校・保育所・病院・図書館などの周り(1号区域)では、午前7時から午後7時までの間に行うこと
- それ以外の区域(2号区域)では、午前6時から午後10時までの間に行うこと
- 1日の作業時間と、同じ場所での連続日数にも上限があること(1号区域10時間・2号区域14時間、連続6日まで)
- 日曜日その他の休日には行わないこと
※いずれにも例外の定めがあります。災害など非常のときは4項目とも外れます。その日のうちに終わる作業が外れるのは1日の作業時間の上限だけで、夜間や日曜の制限は外れません。
出典は環境省の告示「特定建設作業に伴つて発生する騒音の規制に関する基準」です。振動についても、振動規制法に同じような定めがあります。
区域の指定は場所によって変わります。現地がどちらに当たるかは、工事会社と一緒に確認します。そしてこの基準に当たる作業をするときは、市への届出も必要になります。
届出は、作業開始の7日前まで
この届出を出すのは工事会社です。国が定めた作業は騒音規制法と振動規制法、金沢市が上乗せしている作業は金沢市環境保全条例。根拠は分かれていますが、どちらも施工する側が作業開始の日の7日前までに市長へ届け出ます。
届け出る内容には、作業の種類、場所、実施の期間、作業の時間のほか、届け出る人の名前や住所、騒音や振動をどう抑えるかの方法が含まれます。
7日前は、着工日から数えると意外に手前です。工程を引く段階で、この日付がどこに来るかを先に確かめておくと、後ろが詰まりません。
ただし、規模の大きい工事にはもっと手前の期限があります。これは後ろの章で触れます。
解体を頼むとき、届け出るのは発注する側
見落とされやすいのは、解体を頼むときの届出です。名義が工事会社ではなく、頼んだ側になります。
建設リサイクル法では、コンクリート・アスファルトコンクリート・木材を使った建築物などの工事のうち、一定の規模以上のものについて、発注者が届出を出します。期限は工事着手の7日前まで、出し先は知事(金沢市のように特定行政庁のある市では市長)。中身は分別解体等の計画です。
規模の線は、床面積か請負代金で引かれています。
| 工事の種類 | 規模の基準 |
|---|---|
| 建築物の解体 | 床面積80平方メートル以上(約24坪) |
| 建築物の新築・増築 | 床面積500平方メートル以上 |
| 建築物の修繕・模様替え | 請負代金1億円以上 |
| 建築物以外の工作物 | 請負代金500万円以上 |
あわせて、工事を請け負う側には、分別解体等の計画について発注者へ書面を交付して説明する義務があります。説明を受けてから届け出る、という順番です。
名義が発注者である以上、中身を見ないままというわけにはいきません。どこまでを工事会社に頼めるかは、契約前の打ち合わせで決めておくと確実です。
規模の大きい工事は、標識を30日間掲げてから協議に入る
もう1つ、動き出しの早い手続きがあります。
金沢市の市民参画によるまちづくりの推進に関する条例には、市街化区域の中で行う一定の開発事業についての定めがあります。対象は、面積3,000平方メートル以上の土地に係る開発事業、規則で定める中高層の建築物、旅館・ホテル・簡易宿所や住宅宿泊事業の施設など。
これらに当たると、事業者があらかじめ市長へ計画書を提出し、提出した日から30日間、現地に概要を示す標識を掲げます。
その間に近隣の方から問い合わせがあれば、説明会の開催などの対応も求められます。30日が過ぎてから、報告書を出して市長と協議する段取りです。
名義は開発事業を行う側です。協定区域の外で自分が住むための家を建てる場合など、対象から外れる定めもあります。
該当するかどうかは規模と用途で変わります。当てはまりそうな計画は、早い段階で市の窓口と工事会社に確認しておくと安心です。
30日というのは標識を掲げる期間で、着工までの猶予ではありません。
着工日から逆算する
ここまでの期限を1本に並べると、動く順番が見えます。
| 時期 | やること | 名義 |
|---|---|---|
| かなり前 | 規模の大きい工事に当たるかを市の窓口へ確認 | 発注する側・工事会社 |
| かなり前 | 実施計画書を市へ提出。30日間の標識、その後に報告書と協議(該当する工事のみ) | 開発事業を行う側 |
| 2〜3週間前 | 工事の内容を固め、分別解体等の書面説明を受ける | 工事会社が説明 |
| 7日前まで | 分別解体等の届出(対象の工事) | 発注する側 |
| 7日前まで | 特定建設作業の届出 | 工事会社 |
| 7日前ごろ | 近隣へのご挨拶、ご不在宅への書面 | 双方で分担を決める |
| 着工 | 連絡先の共有 | 工事会社 |
7日前に3つが重なります。ここへ向けて工事の内容を固めますので、実際に動き出すのはもっと手前です。
届け出る先は市、声を掛ける先は現地。この2つは別に決めます。
どこまで声を掛けるか
届出と違って、範囲には法令の線がありません。そのぶん、現地を見て決めることになります。
両隣と向かい、裏の家。工事車両が通る道沿い。車両が出入りする場所の近く。音や振動が伝わりやすい方向。
金沢は道幅の狭い場所もあり、工事車両の出入りが通行の妨げになりやすいところが出てきます。どの方向に声を掛けるかは、現地を見ないと決まりません。
集合住宅や通学路が近いときは、範囲の考え方が変わります。着工前に現地をご一緒に確認したうえで、声を掛ける範囲を決めます。
隣との距離が近く、窓が現場側を向いている家。
工事車両の待機や切り返しが必要になる、道幅の狭い区間。
在宅の時間が読めない家。書面を投函する対象になります。
伝える中身
お知らせに載せる項目は、次の5つで足ります。
工事の名前と場所。期間と作業の時間帯。大きな音や振動が出る作業の予定時期。工事車両が出入りする場所。連絡先。
期間は「◯月◯日から◯月◯日まで(土日を除く)」と幅で書きます。音の出る作業は「◯月上旬に◯日ほど」と時期を先に出しておくと、受け取った側が予定を立てられます。この5つがそろっているかで、お知らせの文面を確かめられます。
挨拶の同行に決まりはありません。普段からお付き合いのある家には、頼んだ側から一言あると受け取り方が変わります。
ご不在の家に書面を入れるかどうか、どちらが説明に回るかは、着工前の打ち合わせで決めます。口頭だけだと、期間も連絡先も手元に残りません。
連絡の受け口は、着工前に決める
着工後に近隣から連絡が入ることはあります。音の感じ方には幅がありますし、車両の停め方や作業の時間帯など、始まってみて分かることもあります。
大事なのは、連絡の受け口を1つにしておくことです。誰に言えばいいのかが分からないまま日が過ぎると、話が大きくなります。
現場で動いている人と、会社側の窓口。どちらの連絡先も伝えておくと、受け取る側が迷いません。誰の連絡先を出すかは、着工前の打ち合わせで決めておきます。
よくある質問
近隣への挨拶は、頼んだ側も一緒に行ったほうがいいですか?
どのくらい前に伝えればいいですか?
解体の届出は工事会社がやってくれますか?
音の基準はどこで決まっていますか?
工事の内容が決まってから近隣のことを考え始めると、届出の期限と重なります。工事の内容と一緒に、現地の道路の幅、隣との距離、車両の出入口まで整理しておくと、伝える相手と順番が決まります。工事の相談を始める段階で整理しておきたいことは、金沢で建設工事を相談するときの進め方にまとめています。
金沢周辺で工事を検討している方は、現地の状況と気になっている点をメモしておいてください。ご相談はお問い合わせから承ります。